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高千穂あまてらす鉄道総合研究所
特集〝地方考〟

年表

戦後の地域振興をめぐる主な動き

出口なきトンネル

過疎対策や地域振興に向け、国や社会はどんな動きを見せてきたのか。戦後の法令、行政施策、社会現象、論考などを時系列で追ってみた。(かくまつとむ)

離島振興法(1953施行)

離島の地理的・自然的特性を活かし、産業基盤や生活環境整備、人口減少対策、再生可能エネルギー導入を計画する時限立法。10年ごとに改正

鉄道軌道整備法(953年施行)

鉄道施設の老朽化・安全設備対策に関する補助制度の根拠法。赤字ローカル線の災害復旧支援などについて国や自治体の支援を可能にし

日本各地のローカル線の多くは赤字経営。将来のあり方について議論が続いている©o.sato

集団就職列車(1950~60年代)

農山村の義務教育終了者を労働力不足に悩む首都圏へ送り出した列車。冷害に困窮した戦前の東北でも同様の斡旋があったという

分収造林特別措置法(1958年制定)

製炭需要が止まった広葉樹林を伐採し、建築用材の針葉樹に一斉転換することを目指した政策。1964年の木材輸入自由化で見直しを迫られた

山村振興法 (1965年施行)

山村地域における経済力の培養と住民の福祉向上、および国土の保全(水源のかん養など)を目的に議員立法で制定された

農業振興地域整備法 (1969年施行)

高度経済成長期における宅地転用や荒廃農地の増加に対応し、農用地区域の指定(ゾーニング)や農業基盤の整備を計画的に進めるための法律

過疎地域振興特別措置法(1970年施行)

高度経済成長に伴う農山漁村の人口流動対策として制定された時限立法。以後10年ごとに見直しが行われ現在の過疎地域自立促進特別措置法(2000年施行)に引き継がれる

日本列島改造論(1972年発表)

田中角栄が総裁選前に掲げた構想。工業再配置と交通・情報網の全国形成をテコに、人、金、物の流れを大都市から逆流させる「地方分散」を提言

田園都市国家構想(1979年発表)

大平正芳首相による構想。大都市から地方の農山漁村に至るまで、大小の都市が有機的に一体となった「多極重層構造」社会を提示

一村一品運動(1979年開始)

大分県の平松守彦知事が提唱したスローガン。一次産品をただ生産するだけでなく、加工し自分たちで売ることで付加価値の高い地域ブランドに

総合保養地域整備法(1987年施行)

地方での多様な余暇活動を推進するための法律。リゾート開発を推進したことから「リゾート法」とも。各地で自然破壊や経営破綻を招き問題に

リゾート法第1号に指定されたリゾート施設「シーガイア」(宮崎市)にあった屋内プール「オーシャンドーム」。シーガイアは経営破綻ののちに外資などの買収が続き、オーシャンドームは07年に解体された(宮崎市提供)

ふるさと創生事業(1988年実施)

地域振興のため各市区町村に一律1億円を交付した政策。使途を制限しなかったことから、後にムダ遣いと批判される利用例が多発

ウルグアイラウンド対策費(1994年予算化)

ウルグアイラウンド合意(関税引き下げ・コメ部分開放)による影響を緩和するため、約6兆円を農村地域の公共事業費として投入

道の駅制度(1993年創設)

国道の休憩施設として発足。直売所併設などにより地域活性化にも貢献する。2020年からは地方創生牽引の第3ステージ期という位置づけに

地元学(2000年頃)

宮城県の結城登美雄氏、熊本県水俣の吉本哲郎氏らが始めた運動。ないものねだりをやめ、あるものを再評価しようという視点の学習会を浸透させた

定年帰農(2000年代初頭)

団塊世代が一斉に定年を迎える2007年頃から、多くの地方出身者が故郷へ帰ったり、農山村に移住したりして「第二の人生」を歩むのではという期待が広がった

地域再生法(2005年施行)

「民間にできることは民間に、地方にできることは地方に」という小泉純一郎政権の「構造改革」の一環で、規制緩和や民間活力導入で地域主導の活性化を目指した

観光立国推進基本法(2007年施行)

観光を国の重要政策に位置づけ、交流人口増加を目的に定められた。キーワードは「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」など

ブロードバンド・ゼロ地域解消事業(2006年本格実施)

条件不利地域の市町村が、都市部と同等のブロードバンド・サービスを受けられるよう施設整備費用の一部などを補助する制度

地方公共交通の活性化及び再生に関する法律(2007年施行)

地方自治体が公共交通維持のために主体的な役割を果たし、地域協議会など生活交通を確保する体制づくりに義務を負うことを定めた法律

エコツーリズム推進法(2008年施行)

自然環境を守りながら、その地域の自然や文化を活かした持続可能な観光(エコツーリズム)を広め、地域経済の活性化と環境教育を推進

地方の元気再生事業(2008年実施)

国は支援メニューを用意せず、地域の創意工夫や発意から生まれた取り組みなどを構想段階から財政面で支援する企画提案型の支援

ふるさと納税制度(2008年開始)

居住自治体に納める税金の一部を故郷や応援したい自治体に寄附できる制度。税控除のほか返礼品を受け取ることもでき利用が拡大

東日本大震災(2011年発生)

巨大津波と原発事故が重なったことをきっかけに「セーフティーネットとは何か」と考えた結果、地方移住を選択した人も多い

東日本大震災で被災した住宅や船舶

交通政策基本法(2013年施行)

地域づくりと一体の公共交通ネットワークの維持、防災・減災対策、バリアフリー化など、少子高齢時代における交通政策の基本理念

まち・ひと・仕事創生法(2014年施行)

人口減少に歯止めをかけ、東京一極集中を是正するため、それぞれの地域で住みよい環境を確保する施策を推進する

デジタル田園都市国家構想(2021発表)

デジタル情報通信技術を活用し、地方に住みながら都市と同等のサービスを享受できる社会を目指す。テレワークや移住促進も含む

関係人口創出・拡大施策(2018年開始)

移住者だけでなく、都市住民が移住以外でも地域と関わる「関係人口」を増やす施策。地域活動、副業、多拠点居住を通じ交流促進

地域公共交通活性化再生法改正(2023年施行)

自治体と住民、多様な関係者が協働し、鉄道・バス・タクシーなど地域公共交通ネットワークの新しいスタイルを共創する取組を支援

新しい地方経済・生活環境創生交付金(2024年開始)

地方公共団体の自主性と創意工夫に基づくと同時に、多様な主体の参画を通じた地域独自の取り組みを、計画から実施まで強力に後押し

記者・編集者

鹿熊 勤

Tsutomu Kakuma

記者・編集者

1960年生まれ、千葉県在住。フリーランスの記者。「BE-PAL」「サライ」といった雑誌に寄稿する傍ら、自然と共に暮らす人々の技術や環境問題を取材。2000年頃から地方で起きている変化を観察する。地方関連の著書に『移住で地方を元気にする IT社長が木の会社を作った理由』(小学館)など。